カレーラーメンの発祥地は1か所ではない。新潟県三条市と北海道苫小牧市が、それぞれ別の経緯でその名を挙げられている。カレー粉やカレールウでとろみをつけたスープに中華麺を合わせた一杯で、豚骨・醤油・味噌・塩の主要ジャンルの陰に隠れがちだが、どちらの土地でも長い歴史を持つご当地ラーメンだ。2つの発祥説を起点に、スープの構造と地域ごとのタイプの違いをたどる。
- カレーラーメンとはどんな料理か
- 新潟・北海道それぞれの発祥の経緯
- とろみと辛さを生むスープの構造
- 地域・タイプ別の分類と比較
- カレーうどんとの違い
カレーラーメンとは
カレーラーメンとは、カレー粉やカレールウを使ってとろみと辛みを付けたスープに、中華麺を合わせたラーメンの一種である。醤油や味噌をベースにした通常のラーメンとは異なり、カレー特有のスパイスの香りと、片栗粉やカレールウ由来のとろみのあるスープが特徴だ。専門店として看板メニューに掲げる店もあれば、町中華の一品メニューとして定着している地域もある。

カレーラーメンの発祥・歴史
カレーラーメンの発祥地としてよく語られるのが、新潟県三条市と北海道苫小牧市の2つだ。それぞれ成り立ちの経緯が異なり、どちらも独自にカレーラーメン文化を育んできた。
新潟県三条市の「東京亭」説
新潟県三条市には、戦前(昭和初期)にカレーラーメンが誕生したという説がある。三条市にあったラーメン店「東京亭」の店主が、東京・向島の修業先の食堂で覚えた味を故郷へ持ち帰り、地元で提供し始めたのが始まりとされる。同じく三条市内の「大黒亭」が発祥という説もあり、こちらは初代店主が戦前に東京のレストランで働いていた際に食べたカレーにヒントを得たと伝えられている。三条市では地元で「カレー中華」とも呼ばれ、70年以上の歴史を持つご当地の味として親しまれている。
北海道苫小牧市の「味の大王」説
北海道苫小牧市では、1965年(昭和40年)春に「味の大王」の創業者・高橋一郎氏がカレーラーメンを発売したのが始まりとされる。当時人気を集めていた札幌の味噌ラーメンに対抗する看板メニューとして、大衆に人気の高かったカレーライスとラーメンを組み合わせることを考案したという経緯が伝わっている。室蘭・苫小牧エリアでは、この系譜を引くカレーラーメンが今も地域の名物になっている。
インスタント食品による全国普及
カレーラーメンは1950年代には各地で食べられるようになっていたとされ、インスタント食品化も早い時期から進んだ。1961年には日清食品「チキンラーメン プラスカレー」とエースコック「カレーラーメン」が相次いで発売され、1973年には日清食品の「カップヌードル カレー」が登場し、カレー味のラーメンという組み合わせが全国的に広く知られるきっかけになった。
スープの構造ととろみの仕組み
カレーラーメンのスープは、鶏ガラや豚骨、和風だしなどをベースに、カレー粉やカレールウを加えて作られる。カレールウをそのまま使う店もあれば、複数のスパイスを独自に配合してカレー粉から仕立てる店もあり、この配合の違いが店ごとの個性になっている。スープにとろみを付ける方法は主に2通りで、片栗粉などで水溶き片栗粉を加える方法と、小麦粉を含むカレールウ自体のとろみを活かす方法がある。とろみが強いスープは麺によく絡み、猫舌の人でも食べやすいよう冷めにくいという実用的な利点もある。
地域・タイプ別の分類
| タイプ | ベースのだし | とろみの付け方 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 新潟三条系 | 和風だし+カレー粉 | 片栗粉でとろみ付け | 「カレー中華」とも呼ばれる、あっさり系のだしとカレーの組み合わせ |
| 室蘭・苫小牧系 | 豚骨・鶏ガラ+カレールウ | カレールウ由来のとろみ | 味噌ラーメンに対抗して生まれた濃厚でコクのあるタイプ |
| 町中華系 | 店ごとに異なる中華だし | 店により異なる | 看板メニューではなく裏メニュー・限定メニューとして提供されることが多い |
| インスタント系 | 粉末スープ | 粉末に含まれる調整剤 | チキンラーメンやカップヌードルなど、家庭で手軽に味わえるタイプ |
カレーうどんとの違い
カレーラーメンとしばしば混同されるのがカレーうどんだ。どちらもカレー風味のとろみスープを使う点は共通しているが、麺の違いが最も大きな差になる。カレーうどんは小麦粉から作られる和風の太麺を使い、和風だしとカレーを合わせた優しい味わいが中心になりやすい。一方カレーラーメンは、かん水を含む中華麺を使うため、麺自体にコシと独特の風味があり、カレースープとの絡み方もうどんとは異なる。だしの系統も、カレーうどんは和風だしがベースになることが多いのに対し、カレーラーメンは鶏ガラや豚骨など中華のだしを使う店が主流という違いがある。
とろみ、汁はね、〆のライスで気をつけること
- とろみの強さは店によって差が大きいため、初めての店ではまず標準の辛さ・とろみで注文するのが無難
- チャーシューや温泉卵などのトッピングは、カレーの辛さを和らげる働きもあるため試してみる価値がある
- スープが冷めにくい分、猫舌の人は少しずつ食べ進めると火傷を防ぎやすい
- スープが服に飛ぶとシミになりやすいため、汁はねに注意しながら食べるとよい
- 〆にライスを注文してスープに浸して食べる楽しみ方も、カレーラーメンならではの魅力のひとつ
うどんとの辛さ比べ、子供向けの辛さ、スープを飲み干していいか
カレーラーメンとカレーうどんはどちらが辛いですか
一概には言えないが、カレーラーメンは中華だしとカレーが合わさる分、うどんよりもスパイスの香りが前面に出やすい傾向があるとされる。辛さの感じ方は店ごとの配合によって大きく異なる。
カレーラーメンの発祥はどこですか
新潟県三条市の「東京亭」または「大黒亭」が発祥という説と、北海道苫小牧市の「味の大王」が発祥という説の2つが知られている。それぞれ独立して発展してきたとされ、どちらか一方に定説があるわけではない。
カレーラーメンはどこの町中華でも食べられますか
看板メニューにしている専門店は限られるが、町中華の裏メニューや期間限定メニューとして提供する店は各地に見られる。事前にメニューやSNSで取り扱いを確認するのが確実だ。
カレーラーメンのスープは飲み干しても大丈夫ですか
とろみのあるスープはカロリーや塩分が高くなりやすい傾向があるため、健康面が気になる場合は飲み干す量を加減するとよい。
子供でも食べられる辛さですか
店によって辛さの設定は幅広く、甘口に近い配合の店もあれば、スパイスを強く効かせる店もある。心配な場合は注文時に辛さの傾向を尋ねてみるとよい。
カレーラーメンに合うトッピングはありますか
チャーシューや温泉卵、チーズを加える店もあり、カレーのスパイシーさとまろやかな具材の組み合わせが好まれている。
自宅でも作れますか
市販のカレールウやカレー粉と中華麺があれば、家庭でも作ることができる。とろみを付けたい場合は水溶き片栗粉を少しずつ加えると失敗しにくい。
三条と苫小牧で別々に生まれた、とろみの一杯
カレーラーメンは、新潟県三条市と北海道苫小牧市という異なる土地でそれぞれ独自に生まれ、育ってきたご当地ラーメンだ。中華だしとカレーの組み合わせ、とろみのあるスープが中華麺によく絡む食感は、醤油や味噌とはまた違った満足感がある。町中華の裏メニューとして出会うこともあれば、専門店で本格的な一杯を味わうこともでき、見かけたときに試してみる価値のあるジャンルと言えるだろう。
ご当地ラーメンと味噌・醤油の基礎もあわせて
ご当地ラーメンやスープの系統を掘り下げた記事です。あわせてどうぞ。
出典・参考情報
- カレーラーメンの発祥(新潟県三条市の「東京亭」「大黒亭」説、戦前の東京での修業経験に由来する経緯)について:Wikipedia「カレーラーメン」
- 北海道苫小牧市の発祥経緯(1965年、「味の大王」創業者・高橋一郎氏、札幌味噌ラーメンへの対抗)について:Wikipedia「カレーラーメン」
- インスタント食品化の経緯(1961年の日清食品・エースコックの発売、1973年のカップヌードルカレー)について:Wikipedia「カレーラーメン」