業界動向・トレンド

ロゴやのれんのデザインに見るラーメン店の個性

ラーメン店の前を通ったとき、味を確かめる前にまず目に入るのは店名の書体や、のれんの色、看板の形といった「見た目の情報」である。ロゴやのれんのデザインは単なる装飾ではなく、店主がどのような客層に来てほしいか、どのような世界観の一杯を出しているかを無言のうちに伝える広告塔だとされている。筆文字か、明朝か、ポップな丸文字か。のれんは赤か、白か、紺か。書体と色と素材の組み合わせから、店がどんな客に来てほしいのかがある程度読み取れる。

外観デザインの読み方

  • ロゴの書体は筆文字系、楷書・明朝系、POP体・ゴシック体系に分かれる
  • 老舗は開業当初のロゴやのれんを変えずに使い続けることが多い
  • デザインだけで味の傾向までは分からない
  • 屋号を守るには商標登録が要り、店は第43類、袋麺などの商品は第30類

味やメニューだけでなく、外観のデザインという切り口からラーメン店を眺めてみると、これまで気づかなかった店選びの楽しみ方が見えてくるはずである。

無言で店の世界観を伝える広告塔

ロゴは店名やブランドを視覚的に象徴する図案やレタリングであり、のれんや看板、丼、ラー油の容器、公式サイトやSNSのアイコンなど、あらゆる場面で繰り返し使われることで店の記憶に残りやすくする効果があるとされている。のれんはもともと日除けや目隠し、営業中であることの合図として使われてきた布であり、現代のラーメン店でも「営業中」のサインとしての実用性と、店の第一印象を決める装飾としての役割を同時に担っているといわれている。看板はさらに遠くからでも視認できるよう設計され、店名や業態を通行人に一瞬で伝える機能を持つ。

この三つは単独で機能するのではなく、書体・色・素材感を統一することで一つの世界観を作り出している点が特徴とされる。ロゴの筆文字がのれんにそのまま染め抜かれ、看板の照明色まで揃えている店では、細部にまでこだわる店主の姿勢が伝わってくるとも言われている。

書体、色、素材を見る

書体(フォント)の種類

ラーメン店のロゴでよく見られる書体は、大きく分けて筆文字系、楷書・明朝系、POP体・ゴシック体系の三つに分類できるとされている。筆文字系は毛筆で書いたような力強い線を特徴とし、老舗感や職人気質、和の趣を演出する目的で採用されることが多いといわれる。楷書・明朝体は筆文字よりも整った印象を与えつつ、伝統的な雰囲気を残したい店で好まれる傾向があるとされる。一方でPOP体や丸ゴシック、あるいは欧文のロゴタイプは親しみやすさやカジュアルさ、若い客層への訴求を意識したデザインで多く採用される傾向にあるという。

近年では手書き風のフォントをデジタルで再現したものや、和文と欧文を組み合わせたロゴタイプも増えており、海外展開や訪日観光客を意識した店ほどアルファベット表記を併記する傾向があるとの指摘もある。

色使いの意味合い

色にはそれぞれ心理的な印象があるとされ、ロゴやのれんの配色にも一定の傾向が見られるといわれている。赤は食欲を刺激する色として飲食店全般で好まれ、活気やスピード感、情熱的な接客イメージを演出する効果があるとされる。黒や紺は高級感や職人の重厚さ、こだわりの強さを感じさせる色として、こだわり系や有料系のラーメン店で採用されることが多いといわれる。白やベージュ、木目調の淡い色合いは清潔感やナチュラルな雰囲気を伝える効果があるとされ、女性客や家族連れを意識した店で選ばれやすい傾向があるとされている。

金色や朱色をアクセントに使う店は縁起の良さや華やかさを演出する狙いがあるとも言われ、逆にモノトーンでまとめる店はシンプルさや洗練された印象を重視していると解釈されることもある。

のれんの素材と役割

のれんの素材は綿や麻が伝統的に用いられてきたとされ、通気性がよく染料の発色も良いことから、屋外に掲げるのれんとして重宝されてきたといわれている。近年では色落ちしにくい化学繊維や、雨風に強い加工を施した生地を使う店も増えているとされる。染め方についても、生地に直接絵柄を糊置きして防染する伝統的な染色技法から、デジタルプリントによる写真調のデザインまで幅が広がっているといわれている。

のれんの色や柄が色褪せている店は「それだけ長く使い込んでいる」証として、あえて新調しない店主もいるとされる一方、清潔感を重視して定期的に染め直す店も多いという。のれんの丈や分割数(何枚に分かれているか)にもデザイン上の意図があり、低めに垂らして目隠し効果を高める店、逆に短くして中の様子が見えるようにする店など、狙いによって使い分けられているとされている。

看板・照明が生む演出効果

看板は書体やロゴだけでなく、素材や照明の色によっても印象が大きく変わるとされている。木製の看板に彫刻や焼き印を施したものは重厚感や手仕事の雰囲気を伝えやすく、金属やアクリルを使った看板はモダンで清潔な印象を与えやすいといわれる。夜間には看板照明の色温度も雰囲気を左右する要素とされ、暖色系の電球色は落ち着いた和の空間を演出し、白色や青みがかった照明は清潔感やスタイリッシュさを強調する効果があるとされている。

狙う世界観で分けたデザインのスタイル

ロゴ・のれん・看板のデザインは、狙う世界観によっていくつかのスタイルに整理できるとされている。以下は代表的な傾向を比較したものである。あくまで一般的な傾向であり、すべての店がこの通りに分類されるわけではない点に留意されたい。

スタイル 主な書体 主な色使い 与える印象
老舗和風タイプ 筆文字・楷書 赤地に白抜き、藍色、渋い茶 歴史・職人気質・安心感
高級こだわりタイプ 明朝体・欧文セリフ体 黒・紺・金のアクセント 専門性・落ち着き・非日常感
カジュアル現代タイプ 丸ゴシック・POP体 白・パステル・ビビッドカラー 親しみやすさ・入りやすさ
ミニマル・都会派タイプ シンプルな線画・モノトーン欧文 白黒・グレーの単色 洗練・SNS映え・個性

この分類はあくまで傾向であり、老舗であってもモダンなロゴにリニューアルする店や、逆に新興店があえて筆文字を選ぶケースもあるとされている。デザインの選択そのものが、店主が誰に向けて発信しているかを表す一種のメッセージになっているとも言える。

変えない老舗、作り込む新興店

創業から長い年月が経つ老舗では、開業当初からのロゴやのれんをできる限り変えずに使い続けることを大切にする店が多いとされている。看板の色あせやのれんの色落ちも「歴史の証」として受け止められ、あえて新調しない判断がなされることもあるという。屋号に力強さを持たせ、長年の実績や職人気質を伝える狙いがあると考えられている。

一方で新規開業の店や若い店主が営む店では、SNSでの見え方を意識したデザインが選ばれる傾向が強いといわれている。写真映えを意識してのれんや看板をシンプルな線画やモノトーンでまとめたり、海外の客層を意識してアルファベット表記を併記したりする例も増えているとされる。デザイナーに依頼して、公式サイトやSNSアイコン、商品パッケージまで統一感のあるブランディングを行う店も見られるという。

比較項目 老舗タイプ 新興店タイプ
デザインの変更頻度 低い(創業時のまま維持する傾向) 比較的高い(改装や移転を機に刷新することが多い)
重視する軸 歴史・伝統・職人気質 写真映え・世界観・ブランド統一
海外客への配慮 限定的な店が多い アルファベット併記など積極的な店が増えている

外観で当たりをつけ、中身はメニューで確かめる

デザインの傾向を知っておくと、初めて訪れる店でもある程度の当たりをつけやすくなるといわれている。以下は、外観のデザインから店の方向性を読み取る際に参考にされる視点である。

  • 筆文字や渋い色合いののれんは、伝統的な醤油系や昔ながらの中華そばを出す店である可能性が高いとされる。
  • 黒や紺を基調にしたシックな外観は、こだわりの強い有料系や創作系のラーメンを扱う店に多いといわれている。
  • 明るい色使いやポップな書体は、女性や家族連れでも入りやすい雰囲気を意識している店に多い傾向がある。
  • ロゴがシンプルな線画やモノトーンでまとめられている店は、SNS発信に力を入れている新興店であることが多いとされる。
  • のれんの色あせや看板の使用感は、長年の営業実績を示すサインとして捉えられることもある。

ただし、これらはあくまで傾向にすぎず、外観からは想像できない意外な個性を持つ店も少なくないとされている。デザインを一つの手がかりとしつつ、実際に訪れて確かめる楽しみも残しておきたいところである。

ロゴや屋号を守る仕組み

のれんやロゴは店の顔だが、法的に守るには商標登録が必要である。商標は使う分野ごとに区分が決まっており、飲食店の場合は「飲食物の提供」を含む第43類、袋麺や調味料などの商品を売るなら第30類というように、必要な区分が変わる。

区分 対象 必要になる場面
第43類 飲食物の提供 店舗として屋号を守りたいとき
第30類 麺類・調味料などの加工食品 物販や通販に広げるとき

店舗だけで登録していると、同じ名前で商品を売られても止められないことがある。通販やお取り寄せに展開する店が増えるなかで、区分の設計は実務的な論点になっている。

出典 商標法(商品及び役務の区分)

ロゴの決め方、のれんの色、アルファベット表記

ラーメン店のロゴはどのように決められるのですか。

店主が自ら手書きで考案する場合もあれば、デザイナーやロゴ制作の専門業者に依頼するケースもあるとされている。近年はクラウドソーシングでロゴデザインを募集する店や、開業支援業者がロゴ制作までまとめて請け負うケースも見られるという。

のれんの色にはどのような意味があるのですか。

明確な決まりがあるわけではないが、赤は食欲や活気、黒や紺は高級感やこだわり、白やベージュは清潔感を印象づける効果があるとされている。店のコンセプトに合わせて色が選ばれる傾向があるといわれている。

筆文字のロゴは必ず老舗の店なのですか。

そうとは限らないとされている。新規開業の店でも、あえて筆文字を採用して昔ながらの雰囲気を演出するケースがあるといわれており、書体だけで開業年数を断定することは難しいとされる。

のれんの素材にはどのような種類がありますか。

伝統的には綿や麻が用いられてきたとされ、近年では色落ちしにくい化学繊維や耐候性の高い加工生地を使う店も増えているといわれている。染色方法も伝統的な技法からデジタルプリントまで幅広いとされる。

看板の照明の色にも意味があるのですか。

暖色系の電球色は落ち着いた和の雰囲気を、白色や寒色系の照明は清潔感やスタイリッシュな印象を演出する効果があるとされている。夜間の見え方を意識して照明計画が立てられることが多いといわれている。

海外向けにアルファベット表記を入れる店が増えているのはなぜですか。

訪日観光客の増加や海外への情報発信を意識し、店名を読みやすくする狙いがあるとされている。SNSでの検索のしやすさを考慮しているとの指摘もある。

ロゴやのれんは開業後に変更されることもあるのですか。

改装や移転、メニューのリニューアルなどを機にロゴやのれんを刷新する店もあるとされている。一方で創業時のデザインを守り続けることを大切にする店も多いといわれている。

デザインだけで店の味の傾向は分かるのですか。

あくまで一般的な傾向であり、絶対的な指標ではないとされている。デザインから受ける印象と実際の味が異なるケースも珍しくないため、参考程度に捉えるのが望ましいといわれている。

外観は、店の考えを伝える最初の一枚

ラーメン店のロゴやのれん、看板のデザインは、単なる装飾ではなく店のコンセプトや客層への意識、歴史や職人気質を無言のうちに伝える重要な要素だとされている。書体一つを取っても筆文字か楷書かPOP体かで与える印象は大きく変わり、色使いにも赤や黒紺、白といった選択に応じた意味合いがあるといわれている。のれんの素材や染め方、看板の照明計画までこだわりを持つ店ほど、細部にまで世界観を統一している傾向があるとされる。

老舗は創業当初のデザインを守り続けることに価値を置き、新興店はSNS映えやブランディングを意識した現代的なデザインを選ぶ傾向があるといわれている。次にラーメン店を訪れる際は、味だけでなくロゴやのれん、看板のデザインにも目を向けてみると、これまでとは違った店選びの楽しみ方が見つかるかもしれない。

アイキャッチ画像
編集部の取材写真を使って作成(ラーメン広場)

店主の言葉、看板メニュー、品数の考え方

店主のメッセージの伝え方、看板メニューが変わる理由、メニュー数を絞る店と広げる店の狙いを扱った記事です。店の側の事情を知ると、一杯の見え方が変わります。

-業界動向・トレンド