西荻窪駅北口から歩いて1〜2分、裏通りに入ったところにある「中国食酒坊 まつもと」で、黒胡麻担々麺を食べてきました。12席ほどのこぢんまりとした店構えで、大きな看板を出さず、気づいた人だけが足を止めるような隠れ家的な立地です。
- 西荻窪駅北口から徒歩1〜2分の隠れ家的な中華料理店
- 注文した黒胡麻担々麺(ランチ、小ライス付き)
- 店主は業界31年、台湾でヌーベルシノワを学んだ経歴
- ミシュランのビブグルマン掲載店として紹介されている
- 担々麺のメニューと価格の目安
- 食べログ・Rettyでの評判


注文したのは黒胡麻担々麺(ランチ、1,330円)。花椒と黒ごまを効かせたスープに肉味噌と青ねぎがのり、小ライスが付いてくる一杯でした。

後日、同じ黒胡麻担々麺をもう一度注文した。

また別の日には2名で訪れ、担々麺ではなく鮮魚のたたき風を注文した。薄造りにした白身魚にごまと青菜を添え、たれをかけた一皿だった。夜は鮮魚を選んで調理法を指定できる仕組みがあると紹介したとおり、ランチの担々麺とは違う一面を見せる店だとわかる。


飲み物は山崎のハイボールとキールロワイヤルを合わせた。フレンチに近いサービスを組み合わせているという店の性格どおり、中国料理の一皿とカクテルグラスが同じテーブルに並ぶ夜だった。



さらに別の日には2名で訪れ、黒胡麻担々麺に熊本牛と野菜の炒め物、広東式焼売を合わせて注文した。担々麺は肉味噌と青ねぎの盛り付けまで毎回ほぼ同じで、味が安定していることがうかがえる。熊本牛の炒め物はナス・ズッキーニ・ピーマン・パプリカ・しいたけと野菜を多めに合わせた一皿で、単品の担々麺だけでは物足りないときに満足感を足せるメニューだった。焼売は口コミにもある「むちっとした弾力」が写真からも伝わる仕上がりだった。
ラーメン店の担々麺とは成り立ちが違う
この店の担々麺は、いわゆるラーメン店や町中華で出てくる担々麺とは出発点が違います。口コミでも「ラーメン店や町中華で食べる担々麺とは全くジャンルが違うもの」と書かれることがあり、中国料理店が自分の技術で仕立てた一皿として受け止められています。
店主の松本健二さんは高校を出てから東京の中国料理店に入り、この業界で31年を過ごしてきた人です。修業のなかで台湾に渡り、当時としては新しかったヌーベルシノワの手法を学び、香港出身のコックとも6年間働いています。店で出しているのはその流れをくむ中国料理で、フレンチに近いサービスと組み合わせているのが特徴だと紹介されています。油の使い方にもこだわりがあり、油通しをしたあとに鍋をもう一度洗ってから調理を続けるという手順が紹介されています。担々麺のスープが重くなりすぎないのは、この積み重ねの結果だと考えられます。
西荻窪という立地を選んだ理由は意外にあっさりしていて、南荻窪にアパートを借りていたから近くでよかった、というのが本人の説明です。吉祥寺や荻窪より賃料が安く、飲食店も多い街だという判断もあったとされています。開業時は奥さんと二人で始めた店でした。
ミシュランのビブグルマンに載る店
まつもとは、ミシュランガイドに中国料理部門ができた頃から継続してビブグルマンに掲載されている店として紹介されています。ビブグルマンは星とは別の区分で、手頃な価格で質の高い料理を出す店に与えられる評価です。2018年の取材記事では、部門新設のときから3年続けて載っていると説明されていました。テレビで取り上げられたこともあり、チャーハンや酢豚、えび炒め、ホイコーローといった定番料理にも固定の支持があります。
掲載状況は年によって変わります。最新の掲載有無はミシュランガイドの公式情報で確認してください。この記事の記述は2018年時点の取材記事にもとづくものです。
担々麺のメニューと価格の目安
担々麺には黒胡麻とくるみの2種類があり、それぞれ方向性が違います。価格は改定されることがあるため、来店前に店頭や公式の案内で確認してください。
| メニュー | 価格の目安(税込) | 味の方向 |
|---|---|---|
| 黒胡麻担々麺(ランチ) | 1,130〜1,330円 | 四川山椒と黒ごま。ごまの香ばしさが前に出て、辛さは強すぎない |
| くるみ担々麺 | 2,000円前後 | くるみを40%使うというまろやかなコク。辛味は後から追いかけてくる |
| 海鮮あんかけ焼きそば・汁そば | 1,650円前後 | 麺料理のもう一つの柱。評価は分かれる |
ランチには小ライスが付く構成で、予算の目安は1人1,000円台後半から2,000円ほどです。夜は鮮魚を選んで調理法まで指定できる仕組みがあり、上海蟹などの季節料理も出るため、予算の考え方がランチとは大きく変わります。
評判
食べログには211件の口コミが寄せられており、評価は3.45点、保存数は13,371件です。口コミの数のわりに保存数が多く、行ってみたい店としてまず登録されるタイプの店だと分かります。Rettyでは67人が訪問を記録し、口コミ29件でオススメ度は85%になっています。ここでは食べログとRettyの口コミを読み、担々麺・その他の料理・店内・接客・価格・立地の観点で傾向をまとめます(個々の投稿者名は伏せています)。
黒胡麻担々麺の評判
黒胡麻担々麺については、辛さの立て方を評価する声が中心です。「スープに奥深い味わいと、辛すぎず旨味を味わえるような作り」という口コミがあり、しびれや辛さで押し切るのではなく、旨味を感じられる濃さに調整されていると受け止められています。四川山椒を使いながらも刺激だけが前に出ない点が、この一杯の特徴として語られています。
比較の対象として持ち出されるのが、ラーメン店や町中華の担々麺です。「全くジャンルが違うもの」という書き方をする人がいるように、同じ名前でも別の料理として評価されています。濃い担々麺を想像して行くと、思っていたより上品だと感じる可能性があります。
くるみ担々麺の評判
もう一つの看板であるくるみ担々麺は、黒胡麻とは違う方向で評価されています。「香ばしさとコク、辛味が重なる」「くるみのまろやかなコク。その奥から、辛味がゆっくり追いかけてくる」という表現があり、最初に来るのがまろやかさで、辛さが遅れて立ち上がる構成だと書かれています。麺についても「濃密なスープをしっかり拾う細麺」と評価されており、スープの濃さに合わせた細麺が選ばれていることがうかがえます。くるみが40%入っているという紹介もあり、副材料というより主役として使われているメニューです。価格については2,250円という報告があり、「めっちゃ美味しいけど、単品でチマっと出てきます」と量に触れた口コミもありました。満腹になることを目的に頼むメニューではないようです。冷やし担々麺が出る時期もあり、個性的な麺料理が並ぶ店として紹介されています。
麻婆豆腐の評判
担々麺と並んでよく語られるのが陳麻婆豆腐です。「山椒が効いていてかなり刺激的」「フレッシュなシビレと辛めな麻婆豆腐」という口コミがあり、こちらは担々麺と違ってしびれをはっきり出した一皿として紹介されています。「山椒がしっかり効いていて、痺れる辛さが程よい」と、刺激の強さをちょうどよいと受け止める声も多く見られます。付け合わせの卵スープがしびれを和らげる役割を果たしているという指摘もありました。辛さの好みによって担々麺と麻婆豆腐のどちらを選ぶかが変わりそうです。
ただし、しびれの強さの受け取り方には幅があります。「辛さ、しびれ=麻は控えめに。それでも中華の深奥からやってくる刺激がさすが」と、むしろ抑えた作りだと感じた人もいました。「程良い辛さと香り、豆腐の食感が際立つ逸品」という評価もあり、刺激よりも豆腐の扱いを評価する声も見られます。「中央線沿線でも、そうはないレベルだと思います」と、エリア内での位置づけに踏み込んだ口コミもありました。
麺以外の料理の評判
単品料理も評価されています。広東式焼売について「むちっとした弾力、噛むほどに広がる肉の旨味」という口コミがあり、蒸魚と炒飯を挙げる人もいます。夜の季節料理では上海蟹を推す声があり、「カニ味噌が濃厚で味付け良く」と書かれていました。
一方で評価が割れるのが海鮮あんかけ焼きそばです。肯定的な口コミは具体的で、「海鮮の旨みを引き立てる塩味の餡と香ばしく焼いた麺が絶妙にマッチ」「さらっとした餡は、軽く焦げ目のついた麺と相性抜群」という書き方がされています。海老・ほたて・イカ・エノキ・シメジ・青梗菜という具材の構成に触れる口コミもありました。その反面、「味にパンチが無い」と感じたという声もあります。油を控えた作り方と塩味の餡という組み合わせが、濃い味を期待した人には物足りなく映ることがあるようです。価格は1,780円という報告がありました。
店内と席
店内は12席で、内訳はテーブル4席が2卓とカウンター5席です。「細長い小さな店」と表現されることが多く、「落ち着いた空間」「落ち着いた照明」という言葉が繰り返し出てきます。上品な街中華と評されることもあり、騒がしい店が苦手な人に向いた造りだと言えます。席数が限られるため、大人数での利用や急な来店には向きません。改装されたあとに訪れた口コミでは「新しく清潔感ありますね。改装されたようで」「狭めの店内ですが、新しく清潔感あります」と書かれており、手狭ではあるものの古びた印象はないようです。
接客の評判
接客については「生真面目そうな厨房の男性店主がお出迎え」という口コミがあり、愛想で押すのではなく誠実さが伝わる対応として紹介されています。サービスの評価は投稿によって3.3から4.0程度に分かれており、フレンチ風のサービスを基調にしているという店の方針と、町の中華料理店を期待して訪れた人の感覚との差が、この幅に表れているのかもしれません。ホールの担当者について「雰囲気はツンデレ系なんだけど、ニコッと笑うとすご〜く魅力的」と書いた口コミもあり、機械的な接客ではない様子がうかがえます。
価格をどう見るか
価格は評価が最も分かれる部分です。ランチの予算帯は1,000円台後半から2,000円ほどで、口コミにも「ランチで1人2,000円ほど」という報告があります。これに対して「価格は高いです」「全体的に価格帯が高めなので、通うのには少し」という声が複数見られました。西荻窪の町中華の相場から見ると確かに高めです。
ただし比較の対象を中国料理店に置くと見え方が変わります。ミシュランのビブグルマンに載る店で、店主が31年の経験を持ち、油通しのあとに鍋を洗い直すような手順を踏んでいることを踏まえると、この価格は納得できるという受け止め方もされています。日常的に通う店ではなく、少し良いものを食べたい日に選ぶ店として位置づけている人が多いようです。夜は上海蟹などの季節料理が入るため、予算はさらに上がります。
この折り合いの付け方は口コミの言い回しにもよく出ています。「価格はやや高めですが料理の完成度は抜群」「お高いけど、美味しいっス」「西荻窪の価格帯からすると、ちょっと高めに感じますが、食材の良さと中華の技を堪能できる」というように、高いと認めたうえで納得しているという書き方が目立ちました。
立地の評判
「西荻窪駅から歩いて1〜2分」という好立地でありながら、大きな看板を出していないため、隠れ家レストランと表現されることが多い店です。大声で客を呼ばず、気になった人だけが足を止めればいいという西荻窪の街の空気に溶け込んだ存在感が、口コミの中でもたびたび触れられています。初めて行く人は、事前に地図で場所を確認しておいたほうが確実です。
再訪したいかどうか
一度で食べ切れないメニュー数があるため、次は別の品をという書き方の口コミが多く見られます。「また担々麺などもいただいてみたいと思います」という感想や、〆に頼んだ鶏肉の台湾風和え麺を「これまた逸品」と評価する声があり、担々麺以外にも目当てを見つけて帰る人が少なくないようです。ビブグルマン掲載店でありながら「もっと混んでもいい店です」と書かれることもあり、知られ方のわりに落ち着いて入れる点を評価している人もいます。
評価の傾向をまとめると
担々麺の完成度、麻婆豆腐のしびれ、落ち着いた店内。この3点が評価の柱になっています。引っかかる点として挙がるのは価格と、料理によって印象が変わること、そして席数の少なさです。味そのものへの低い評価はほとんど見当たらず、期待していた方向と違ったという種類の感想が中心でした。
店舗情報
店名 中国食酒坊 まつもと
住所 東京都杉並区西荻北3-22-22
最寄り駅 JR中央線・総武線 西荻窪駅(徒歩1〜2分)
電話番号 03-3397-0539
営業時間 11:30〜14:30(L.O.14:00)、17:00〜21:30(L.O.21:00)
定休日 火曜日
席数 12席(テーブル4席×2、カウンター5席)
黒胡麻とくるみの選び方、辛さ、予算、予約
黒胡麻担々麺とくるみ担々麺、どちらを選べばよいですか
四川山椒の香りと黒ごまの香ばしさを味わいたいなら黒胡麻、まろやかなコクから辛さがゆっくり立ち上がる作りを試したいならくるみです。価格は黒胡麻のほうが手頃で、くるみは2,000円台という報告があります。初めてならランチの黒胡麻担々麺が入りやすい選択です。
辛さはどれくらいですか
担々麺は「辛すぎず旨味を味わえるような作り」と評されており、刺激で押すタイプではありません。しびれや辛さをはっきり感じたい場合は陳麻婆豆腐のほうが向いています。ただし麻婆豆腐のしびれについても、強いと感じる人と控えめだと感じる人の両方がいます。
予算はどれくらい見ておけばよいですか
ランチは1人1,000円台後半から2,000円ほどが目安です。夜は上海蟹などの季節料理や鮮魚があり、口コミの予算帯は8,000円台から1万円を超える場合もあります。ランチと夜で性格が大きく変わる店です。
席数と予約について教えてください
席数は12席で、テーブル4席が2卓とカウンター5席という構成です。細長い造りのため大人数には向きません。混雑状況や予約の可否は店に直接確認するのが確実です。
ラーメン店の担々麺とは何が違いますか
中国料理店が自分の技術で仕立てた一皿であるという点が違います。口コミでも「ラーメン店や町中華で食べる担々麺とは全くジャンルが違うもの」と書かれています。油通しのあとに鍋を洗い直すといった手順を踏んでおり、スープが重くなりすぎない作りになっています。
麺以外に頼むなら何がよいですか
陳麻婆豆腐は担々麺と並んでよく語られる一皿です。ほかに広東式焼売、蒸魚、炒飯を挙げる口コミがあり、夜の時期ものでは上海蟹を推す声もあります。海鮮あんかけ焼きそばは評価が分かれるため、濃い味を期待する人は注意してください。
場所は分かりやすいですか
西荻窪駅北口から徒歩1〜2分と近いのですが、裏通りに入ったところにあり大きな看板も出していません。隠れ家レストランと呼ばれる理由がここにあります。初めて行くときは地図で位置を確認してから向かってください。
出典・参考情報
- 店主松本健二氏の経歴(高校卒業後に東京の中国料理店へ、業界31年、台湾でのヌーベルシノワ修業、香港出身のコックと6年)、西荻窪を選んだ理由、開業の経緯、油通しのあとに鍋を洗い直す調理法、くるみ担々麺のくるみが40%であること、ミシュランガイドの中国料理部門新設時からのビブグルマン掲載について:西荻町学「まつもと」(2018年10月の取材記事)
- 食べログの評価(3.45点、口コミ211件、保存13,371件)、担々麺・陳麻婆豆腐・広東式焼売・上海蟹などの口コミ内容、席数12席(テーブル4席×2・カウンター5席)、価格帯について:食べログ「中国食酒坊 まつもと」
- Rettyのオススメ度85%、訪問67人、口コミ29件と、くるみ担々麺2,250円・海鮮あんかけ焼きそば1,780円という価格、改装後の店内の様子について:Retty「中国食酒坊 まつもと」
- 四川山椒を効かせた黒胡麻入り担々麺、くるみ担々麺、海鮮あんかけ焼きそばの価格帯について:各グルメ媒体のメニュー掲載情報
いずれも2026年9月20日時点で確認した内容です。価格・メニュー・ミシュランの掲載状況は変わることがあるため、来店前に公式の案内で確かめてください。
担々麺をもっと知る・西荻窪のほかの店
担々麺というジャンルそのものを整理した記事です。
同じ西荻窪で、系統の違う一杯を出している店です。