トマトラーメンの元祖を名乗る店は各地にあるが、発祥について定説と呼べるものはない。それでも専門店が生まれてから約20年たち、通販や冷凍商品も含めて定着してきた。見た目はイタリアンに近く、ラーメンの主要ジャンルとは別の枠に見られがちだが、土台は中華麺と鶏ガラなどのだしだ。専門店が広まった経緯からスープの構造、タイプ別の違い、注文のコツへと順に追っていく。
- トマトラーメンとはどんな一杯か
- 専門店が広まった経緯と、代表格「太陽のトマト麺」の歩み
- トマトでスープの味がどう変わるか(うま味と酸味)
- スープのベース別・トッピング別のタイプ比較
- 担々麺・カレーラーメンなど他の変わり種との違い
トマトラーメンとは
トマトラーメンとは、トマト(生トマト、ホールトマト、トマトピューレ、自家製トマトソースなど)をスープの味の軸にしたラーメンの総称だ。醤油・味噌・塩・豚骨といった「タレの種類」で分けるジャンルとは違い、「何を主役にした一杯か」で分けた呼び方になる。ベースのスープは鶏ガラや鶏白湯、豚骨、野菜出汁などさまざまで、そこにトマトの酸味とうま味を重ねる。

見た目はミネストローネやトマトパスタに近く、チーズやバジル、ベーコンなど洋風の具材と合わせる店が多い。一方で、麺は中華麺を使い、鶏ガラなどのだしを土台にする点はラーメンの作りのままだ。「イタリアンとラーメンの間」にある料理と考えると分かりやすい。
専門店が広まった経緯
トマト入りの創作ラーメン自体は、トマトやチーズ、カレーなどを使った創作系のラーメンが増えた1990年代以降に各地で見られるようになったとされる。福岡県では、豚骨ラーメンが主流の土地に新しいスタイルとしてトマトを使ったラーメンが登場し、専門店ができたという紹介もある(業務用スープ会社クックピットの解説による)。ただし、トマトラーメンの元祖や発祥地について定説と呼べるものは見当たらず、店ごとに「元祖」を掲げているのが実情だ。福岡県遠賀郡水巻町の「三味333」のように、イタリアンシェフが8年かけて作ったスープを売りにする店もある。
代表格「太陽のトマト麺」の歩み
専門店として全国に知られる存在が「太陽のトマト麺」だ。公式サイトの沿革によると、2005年12月に東京・錦糸町で「よりみち屋錦糸町店」として鶏パイタン麺の専門店から始まり、2006年9月にトマトらーめん専門店へ転換した。2007年6月に屋号を現在の「太陽のトマト麺」に改め、2009年3月にはみやげ麺(持ち帰り商品)の販売を始めている。2011年2月にはトマトの大手メーカー・カゴメとのコラボレーションも行った。運営は株式会社一品香で、同社はイートアンドホールディングスのグループ会社にあたる(ニュースリリースの出し手はイートアンドホールディングス)。
店舗のほか通販にも力を入れており、2024年7月には二郎系ラーメンを意識した通販限定の「太陽のトマ二郎」(総重量690グラム、鶏ガラと豚骨のスープにトマトソースを合わせた濃厚な一杯)を期間限定で売り出すなど、ボリューム系の展開もある。店舗はチェーン展開で、2025年12月には創業20周年のキャンペーンが行われた。
トマトでスープの味はどう変わるか
トマトはうま味成分のグルタミン酸を野菜の中でも多く含み、昆布と同じ系統のうま味を持つことが知られている。鶏ガラなどの動物系のだしに重ねると、うま味の層が厚くなり、少ない脂でも満足感を出しやすい。ここにトマトの酸味が加わるため、味噌や醤油のこってりとした系統とは違う、輪郭のはっきりした後味になる。
クックピットの解説では、スープを次の3層で捉えている。
- 出汁の層:鶏ガラや野菜から取るだしが土台
- トマトの層:ピューレやホールトマトで酸味とうま味を足す
- 油の層:オリーブオイルや香味油を少量加えてコクと香りを出す
油を使う点には、栄養面の理由もある。トマトのリコピンは脂溶性で、油と一緒にとると吸収されやすいとされる。カゴメと名古屋大学の共同研究では、にんにくやたまねぎ、油と一緒に加熱すると体内に吸収されやすくなる可能性が示された。トマトラーメンの作り方(にんにくや香味油とともに煮込む)は、この点と相性がよい。ただし、これは食材の一般的な性質であり、ラーメン1杯で特定の効果があるという意味ではない。
タイプ別の分類と比較
| タイプ | スープのベース | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| あっさり鶏ガラ系 | 鶏ガラ・野菜出汁+トマト | 酸味が軽く、ミネストローネに近い飲み口 | 脂が重いラーメンが苦手な人 |
| 鶏白湯・クリーム系 | 鶏白湯+トマト、生クリームなど | まろやかで、パスタのクリームソースに近い | 酸味が強いのが苦手な人 |
| 豚骨・濃厚系 | 豚骨や背脂+トマトソース | ボリュームがあり、二郎系を意識した商品もある | しっかり食べたい人 |
| チーズ・洋風トッピング系 | 上記のいずれか+チーズ、バジル、ベーコンなど | 味変を兼ねた仕立てで、パスタに近づく | 初めて食べる人 |
| 冷やし・アレンジ系 | トマトジュースや冷製スープ | 夏場向けで、家庭でも作りやすい | 暑い時期にさっぱり食べたい人 |
店によって同じ「トマトラーメン」でも、酸味の強さやスープの濃さは大きく違う。初めての店では、看板メニューの基本形を選び、トッピングは後から足すと失敗しにくい。
他の変わり種ラーメンとの違い
トマトラーメンは、カレーラーメンや担々麺と並べて「変わり種」と括られることがある。違いは、味の軸にしているものだ。カレーラーメンはスパイスとルウのとろみ、担々麺はごまと辣油の辛さが軸で、トマトラーメンは酸味とうま味が軸になる。カレーラーメンについてはカレーラーメンの基礎で、野菜の甘みが軸の一杯はタンメンの基礎で詳しく整理している。
酸味の差、汁はね、〆のリゾット風
- 酸味の強さは店で差が出る。初回は基本の一杯を選び、口に合えばチーズや卵を足す
- スープが赤く、汁はねが服に付くと落ちにくい。白い服の日は避けるか、ナプキンを使う
- 麺を食べ終えた後に、ご飯やチーズを加えてリゾット風にする店が多い。スープにうま味が溶けているため相性がよい
- チーズは、酸味をやわらげてコクを足す働きがあり、酸っぱいのが苦手な人ほど試す価値がある
- 通販や冷凍商品を選ぶときは、麺とスープの量、トッピングの有無を商品ページで確認する
トマトが苦手でも食べられるか、〆のご飯、通販の疑問
トマトラーメンはどんな味ですか
トマトの酸味とうま味が前に出た、洋風のスープの味だ。ベースが鶏ガラなら軽く、鶏白湯やクリームを合わせればまろやかになる。店ごとに酸味の強さが違うため、ミネストローネに近いものからカレーに近い濃いものまで幅がある。
トマトラーメンの発祥はどこですか
定説は確認できなかった。1990年代以降にトマトを使った創作ラーメンが各地で登場し、福岡県などで専門店が生まれたと紹介されている。全国的に知られる専門店の一つ、太陽のトマト麺は2005年12月に東京・錦糸町で開業し、2006年9月にトマトらーめん専門店になった。
トマトが苦手でも食べられますか
加熱して煮込んだトマトは生よりも酸味がやわらぎ、うま味が強くなる。それでも苦手意識が強い場合は、チーズ入りや鶏白湯・クリーム系を選ぶと食べやすい。
ダイエットや健康によいですか
トマトにはリコピンなどの成分が含まれるが、スープの油や麺、塩分もあるため、ラーメンとして食べる場合はほかのラーメンと同じように量を意識する必要がある。この記事は診断や治療の助言ではなく、特定の効能効果を示すものでもない。
〆にご飯を入れてもよいですか
多くの店でライスやチーズを追加してリゾット風にする楽しみ方が提案されている。店によってサービスの有無や料金が違うため、注文時に確認するとよい。
家で作るならどうすればよいですか
市販のラーメンスープに、トマトピューレやトマトジュース、にんにく、オリーブオイルを足すと、それらしい味に近づく。冷やして食べるアレンジも紹介されている。
冷凍や通販で買えますか
太陽のトマト麺のように、公式のオンラインショップでトマトラーメンを扱う店がある。商品や販売期間は店によって変わる。
元祖の定説はなし、初めての一杯は基本形かチーズ入りから
トマトラーメンは、トマトの酸味とうま味を軸にした、洋風寄りのラーメンだ。元祖の定説はなく、1990年代以降に各地で広がり、2000年代半ばに専門店が全国で知られるようになった。ベースが鶏ガラか鶏白湯か、チーズを合わせるかで印象がかなり変わるため、初めての一杯は基本形かチーズ入りから選び、〆のリゾット風まで試すと違いが分かりやすい。
カレーラーメンや地方系など、トマト以外の一杯も知る
ラーメンの系統やご当地の違いを掘り下げた記事です。あわせてどうぞ。
出典・参考情報
- 太陽のトマト麺の沿革(2005年12月開業、2006年9月トマトらーめん専門店へ転換、2007年6月屋号変更、2009年3月みやげ麺、2011年2月カゴメとのコラボ):太陽のトマト麺 公式サイト「太陽のトマト麺の歩み」
- 太陽のトマト麺のメニュー構成(太陽のラーメン、太陽のチーズラーメンなど)と自家製トマトソースの説明:太陽のトマト麺 公式サイト
- 「太陽のトマ二郎」(2024年7月5日発売、通販限定、総重量690グラム)および創業20周年キャンペーン(2025年12月):株式会社イートアンドホールディングス ニュースリリース
- 運営会社:株式会社イートアンドホールディングスのニュースリリース(2026年8月4日、PR TIMES)に「太陽のトマト麺(運営:株式会社一品香、本社:神奈川県横浜市)」と記載。株式会社一品香がグループ会社であることはイートアンドホールディングス公式サイトのグループ会社一覧で確認(確認日2026-10-03)
- トマトラーメンの歴史(1990年代以降の創作ラーメン、福岡県での専門店の誕生)とスープの3層構造:クックピット「トマトラーメンの完全ガイド」
- 元祖を掲げる店の例(福岡県遠賀郡水巻町、イタリアンシェフが8年かけて作ったスープ):三味333の紹介ページ(みずまき探せるネット)
- トマトのグルタミン酸、リコピンと油・加熱の関係:カゴメ株式会社「トマト大学」ほか